春の訪れと自然界の目覚めを祝う春のお祭り、フドレルレズ。
民間に伝わる伝説によると預言者フズル(Hizir)とイルヤス(Ilyas)が春になると地上で出会い自然界を目覚めさせたとされています。この出会いの日は5月6日と考えられ、この日をフドレルレズとし、春を祝う行事が行われるようになりました。フドレルレズとは、このフズルとイルヤスの言葉が融合した言葉なのです。
フドレルレズの日は願い事を唱える日と信じられ、前日までに家の中の大掃除を完了させます。これは幸運を運んでくるフズルは汚れた家には訪れないと信じられているからです。フズルは心の美しい人々や困難な状況の人を助け、富や豊饒、健康を配するとし、彼が訪れた場所、触れたもの全てに幸運をもたらすのです。
フドレルレスの前夜である5月5日の夜に人々は様々な方法で願いをかけます。結婚を願う女性達はバラの枝に赤い布を結び、バラの根元に指輪を置きます。家や車が欲しい人は庭の隅から石や土を取り自分の欲しい形にしておきます。また財布の口や食料庫のドアは開けっぱなしにし、フズルが入りやすいようにするのです。欲しいものがあればその模型を吊り下げておきます。願い事があれば紙に書き、それをナフル(Nahil)の木(左上写真のようなもの)に結び付けます。ナフルの木がない場合は流れる水(海や川など)にその紙を流し、フズルに拾ってもらえるようにします。
5月5日の夕刻から朝にかけては各地でフドレルレスの祭りが行われます。パレードやダンスなどが催され、通りにはナフルの木が置かれるのです。
5月6日には主に水(川や海)の沿岸や緑あふれる場所等でフドレルレスを祝う行事が開催されます。新鮮な野菜や仔羊の肉又は羊のレバーを食べる習慣も残っています。又、地方によっては願い事を叶えるためにこの日1日断食を行ったり、貧困者に施しを与えたり、羊を犠牲(クルバン)にすることもあるようです。またこの日のために新調した洋服や靴を着用することも習慣として残っています。